【ビジネス】海外事業における成功と失敗 -拠点責任者のコミットメント-

公開日: : Business, StartUp, 未分類

この2年半、私は海外進出と新規事業立ち上げという一粒で2度美味しい事業戦略/推進を任されてきた。
既存事業の海外進出ではないことで外部環境など様々な影響を良い意味でも悪い意味でも受けながらも一定の成果を出すことができたと思っている。

そしてその経験から海外での新規事業立ち上げである程度成功するパターンと失敗するパターンがあるのが分かったのと同時に、経験として大きかったのは既に進出済みの拠点が多く存在しており、複数の拠点においてサイマル的に事業立ち上げから事業拡大をそれぞれのフェーズに合わせて経験できたことだ。その結果、どのパターンが成功するのかどのパターンが失敗するのかを俯瞰的に見ることができたので備忘録的になるが、そうした成功パターン、失敗パターンをヒト、モノ、カネという視点で数回に分けてまとめていきたいと考えている。

今回は、ヒトにフォーカスし、拠点責任者のコミットメントを取り上げる。

拠点責任者の性質というのは各々バラバラの上、非常に大きな要因となった。そこで今回は、成功する、失敗する拠点責任者の性質という軸で海外での新規事業展開の成功と失敗をまとめて考えてみたいと思う。(ただし、これは私が経験したケースからの話であり、企業規模、事業規模、市場、産業により大きくことなると思われるのであくまでも*百億規模の企業/事業、アジア市場、ITサービスでの事例かつ拠点責任者の交代というカードが切れないケースであり、無論すべてのケースで当てはまるとは言えない。)

ここでいう成功の定義は、市場環境も含めた外部環境が大きな影響力を持つことが前提なので”市場の成長率に合わせて自社の行った事業活動が基で自社もそれに合わせて成長できたのか”とした。


Edgar Barany / Foter / CC BY-NC-SA

 

 

拠点、事業の立ち上げと組織

 

まずどういう拠点、事業の立ち上げと組織のパターンが存在したのかまとめてみる。
拠点軸で考えると以下の2つのパターンが存在。

1. 新規事業と同時に立ち上げる拠点

2. 既存事業を継続もしくは縮小して新規事業として立ち上げる拠点

組織軸で考えると以下の2つのパターンが存在。

A. 拠点責任者と事業責任者(+チーム)が完全に分断しているパターン

B. 拠点責任者と事業責任者(+チーム)が同一もしくは共存しているパターン

存在した組み合わせは、1-B, 2-Aが存在し、2-Aから2-Bへ変更になったというパターンが存在。

まず、1-Bの組み合わせは、それぞれの利害関係者が一致するので基本的に問題がなく事業立ち上げから拡大に邁進できており、小さな課題は抱えつつも大きな課題はそれほど存在しない。これは簡単に予想できると思う。

問題は、2-Aのパターン。組み合わせのところでも書いたが、2-Aにも実は2パターンがあって、2年半という時間軸でみると2-Aと2-Aから2-Bに移行した2つのパターンが存在しこの2つには大きな差が生まれた。


Sky Noir / Foter / CC BY-NC-ND

 

 

拠点責任者のコミットメント

 
2-Aのパターンでは、新規事業の成長がかなりの確度で見込めるにも関わらず拠点責任者が新規事業へのコミットメントが低い、酷い場合はまったくしないという状況が発生し、事業立ち上げがなかなか思うように進まなかった。事業が進まない原因としては、無論外部環境など様々な変数が影響しますが最も大きな変数は拠点責任者のコミットメントだったと考えている。

その拠点責任者のコミットメントが低い原因は以下。

  1. 拠点責任者に既存事業を継続するインセンティブが高い場合
    既存事業が一定の収益を上げており、新規事業にコミットしリスクを犯すよりも既存事業の継続をした方が短期的には拠点責任者に取ってインセンティブが高い。
  2. 拠点責任者が新規事業に対する先見性の欠如(知識や経験の不足)
    拠点責任者がローカルなビジネスに精通はしているものの、グローバルなビジネスに精通していない場合に、新規事業に対する不信感の発生。
  3. 拠点責任者が既存事業に事業としての成功よりもこだわりや信念がある場合
    既存事業が収益を上げているか上げていないかは別として、その既存事業に対して強いこだわりや信念を持っており、新規事業の優先度が低いままとする。

 

1. 拠点責任者に既存事業を継続するインセンティブが強く働く場合の解決手段

PL的な視点にしかフォーカスが行っていないので問題の解決は思ったよりも簡単で、事業責任者を本社所属と拠点所属のマトリックス組織にし、新規事業に関わるコストを負担し、事業責任者と本社とで事業立ち上げを行い、事業の拡大フェーズになった時に拠点責任者を巻き込んでいいくという事で対処ができた。

 

2. 拠点責任者が新規事業に対する先見性の欠如(知識や経験の不足)の解決手段

タイムマシーン的に事業立ち上げを進める戦略を実行してたので既に成功している拠点での成功モデルでの事業立ち上げ方法でコンセンサスを取り、その方法論の初期投資を本社側でリスクを取り、一定の成功が見えた段階で拠点へと引継いで行くということで解決した。

実は、2-Aから2-Bに移行した拠点責任者は、1と2が解消された段階で2−Bへの移行を決断。 その結果、移行前は停滞していた事業がぐんぐんと成長し、1-Bの拠点を抜くレベルに到達。偶然にも市場の成長のタイミングと合致したこともあり予想を遥かに超える成長を遂げている。

この2-Aから2-Bに移行を決断した拠点責任者の特徴は、

  • 拠点の成功が第一にある
    拠点の成功(収益拡大)が第一と考えている
  • 個別最適を全体最適に枠組みにはめるのが得意
    個人的(拠点単体も含む)な利益を全体最適に合わせることが得意。
  • 本社を有効活用できる
    ヒト、モノ、カネという資源を本社から適切に獲得できる
  • トップダウン
    拠点責任者がほぼすべてトップダウンで意思決定を進めているので本社側の意思決定に賛同した場合はそれが拠点としての意思決定となる
  • 事業にこだわりがない
    事業が何であれ収益拡大が第一と考えている

 

3. 拠点責任者が既存事業に事業としての成功よりもこだわりや信念がある場合の解決手段

これは正直解決手段が未だに見つけられていない。何度も交渉を重ねたのですが残念ながら依然としてコミットメントが低いもしくはほぼない状況で新規事業も成功しておらず結果としてどうするかもまだ決まっていない。

またこのパターンの拠点責任者の特徴は、2-Bへ移行した拠点責任者のまったく逆の特徴を示している。

  • 拠点の成功よりもこだわりの事業
    こだわりの事業の成功(収益拡大)が第一と考えている
  • 個別最適を全体最適に枠組みにはめるのが不得意
    こだわりの事業がある場合はその成功のみを考えており、全体最適を考慮していない
  • 本社を有効活用できない
    本社との連携が上手く取れていないため本社の資源を有効活用できない
  • フラット
    拠点責任者が拠点所属の事業責任者に権限を委譲しすぎているため本社側の意向が反映されにくい
  • 事業にこだわりがありすぎる
    事業の収益性を度外視してこだわりの事業に投資を続ける

ドラスティックな変更なため結局実施ができなかっただが、解決策としては以下を考えていた。

別途独立した拠点責任者=事業責任者の組織を作る

上記の拠点責任者の利害関係を継続したまま、事業自体を切り離し本社所属の事業体として完全に独立した事業体へと移行する。
拠点責任者に既存事業を継続するインセンティブが強く働く場合の解決手段に近いが、仮に成功した場合も元の拠点責任者には事業を戻すことができないので同一拠点に2つのビジネスオペレーションが存在するようになり短期的に見るとコスト的には無駄が発生するリスクが存在する。

 


ilovememphis / Foter / CC BY-ND

 

結論というか学んだことのまとめ

  • PLだけを基準にした拠点責任者の評価制度は拠点責任者のコミットメントを低下させ新規事業の妨げになるがいずれかの方法でその問題を解決すれば良い
  • 事業立ち上げは本社+本社所属の事業責任者でリスクを取って行い、事業拡大時に拠点責任者に移譲する方法が利害も一致し時間もかからない
  • こだわりや信念といった感情論で利害が一致しない場合は解決ができない?事業ごとでに拠点責任者を立てるべきか?(検証できていないので今後の課題)

以上が結論というか学んだことだが、並べて見ると大したことがないように見えるのが不思議。

制約条件や既得権益などがあるとボトルネックが積み重なって単純な問題が複雑な問題になっているのでそれをほぐして単純な問題に落とし込むまでに時間がかかるし解決にも時間がかかる典型的な例かもしれない。




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